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人間としての顔

中小企業の経営者は事業の未来を考えることと、いち人間として社員とどう向き合うかのなかで揺れ動くものだ

中小企業の経営者ほどむずかしい仕事もないだろう。
先ず、資金繰りだが、未来の事業を考え、投資をおこない、そ
して事業を成長させていく役割がある。
経営者は自社の事業が順調に成長してくれば、さらに次の成長
を目指そうとする。

他方、社員は必ずしも経営者の成長意欲を支持しているわけで
はない。
自分たちの現状がある程度満足がいくようになれば、社員は企
業にそれ以上の成長を求めていない場合すらある。
そんな状態のなかで経営者だけが成長指向になると、思わに落
とし穴が待ち構えている。
だいたい社員が辞めていくことが多い。
会社は好きだけど経営者の成長指向についていけないなどの理
由によって辞めていく。

中小企業の経営者は、事業が順調な場合でも立ち止まることが
必要だ。
経営者から社員が離れていけば、事業の成長など夢物語になる
からだ。
中小企業の経営者は、事業の責任者の顔と人間としての顔をも
っていなければならない。
事業の成長スピードについていけず辞める社員が多くなったと
きこそ、人間の顔に戻らなければならない。

社員が会社に感じていることを知り、自らが進むべきステージ
を見つめなおすことが求められる。
中小企業では、とくに成長スピードに注意を払っておこくこと
だ。
経営者と社員の事業展開に関するスピードはずれている場合が
多く、とかく経営者は先を急ぎたがる。
このずれが大きくなることで企業は傾きだす。

経営者が企業の未来(成長)に思いを馳せるのは本能だろう。
しかし、社員は今の生活が大事な場合が多い。
このギャップをどうするか。
結論から話せば、経営者が人間の顔をもって社員と接する以外
にない。
どのように社員とコミュニケーションがとれるかは、人間の個
性の問題でもあるのだが、私がみてきたところでは、なんでも
相談できる経営者がいる企業は成長していた。

ソニー子会社とある中小企業の創業経営者は、なんでも相談で
きた。
社員の相談も気軽に受けていた。
もっとも、経営者は、社員から相談されたことを、すべて受け
入れていたわけではない。
話を聞いて仕事で重要なことだけでなく、個人の問題でもきち
んと話を聞いて必要があれば管理職を通して指示を出していた。
できないこともしっかりとフィードバックする。
経営者は、いつも社内の行動スタイルがオープンだった。

創業経営者は、社長室すらもたないで社員のなかに机を置いて
仕事をしていたのだが、この方は、会社内をよく歩き、自分の
目でみて社員が仕事する姿を確かめていた
重要な話であれば会議室に呼んで、必要な社員を同席させて話
を聞いた。

ソニー子会社時代に感じたことは、当時の社長はソニーの創業
期に入社された方だったので、俺のマネジメントはこれしか知
らん、と言われた。
あくまで私の感覚だが、ソニー創業期の井深さんや盛田さんが、
オープンなマネジメントをされていたのだろうと、私なりに感
じていた。
「三つ子の魂百まで」ではないが、当時の社長から創業時代を
私は感じとっていた。

だかこそ、最高の環境で仕事をさせてもらった思っている。
この二人の社長の姿をみて、事業を成長させていく中小企業に
必要な要素を学ばせてもらった。

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