先日、Amazonで腕時計を購入したのだが、ネット購入では、メ
タルバンドの調整は自分でしなければならない。
腕時計といっしょにメタルバンド調整用の工具を購入した。
ところが、メタルバンド調整用の工具をどのように使うのかがわ
からない。
YouTubeで調べてみたが、メタルバンドの調整には、いくつかの
タイプがあることがわかった。
動画でみるのだが、私が購入した腕時計のメタルバンドは、どの
タイプかさへ理解できない。
これは時計屋さんでメタルバンドを調整してもらわなければなら
い、とすぐに自覚した。
時計のバンド調整のために、あるモールのなかにあった時計屋へ
でかけた。
以前、あるモール内にあった店舗で、私が15年くらい使用して
いる時計の電池交換をしてもらったのだが、いってみるとすでに
店舗は撤退していた。
全国展開している時計販売店だった。
時計の販売数量は伸びているようなので、実店舗における販売自
体が縮小しているのだろう。
時計店の撤退を知るのは、2店目の経験だ。
別のモール内にあった同じ系列の販売店だったが、やはり電池交
換したのだがモールから撤退した。
時代の流れだろう。
身近な店舗で時計を購入することがなくなった。
修理で店舗を維持するだけの売上がたつことはない。
いつまでも売れない店舗を置いておくわけにはいかないのだろう。
さあ、どこの時計販売店でメタルバンドの調整をしてもらうか、
という面倒な問題が発生した。
ネットで調べてみると、近隣に二つの時計屋があった。
ひとつは、前述した全国展開している時計販売店だった。
もうひとつは、個人でやっている小さな時計修理店だ。
私は個人店主の店を選択した。
店主は、真面目な方らしく、私の腕に数回メタルバンドをはめて、
細かく調整してくれた。
新しい腕時計は、きちんと私の腕に収まった。
とても調整がうまい方だった。
メタルバンドの調整代を確認すると1,100円という。
この金額が、メタルバンド調整代の相場らしい。
私がみるところ、いつまで時計の修理や調整の仕事ができるのだろ
うか、というくらい店は繁盛しておらずこの先が心配になった。
私からすれば、3,500円は払ってよい仕事だと思った。
仕事が丁寧だし、技術力がある。
私は自分でメタルバンドを調整するためにYouTubeをいくつかみた。
たかがメタルバンドの調整だが、うまくやるための方法があること
を知った。
今回、メタルバンドの調整をしてもらった方は、動画をみた範囲で
比較すれば、とても調整が上手な方だった。
私は、工具を買い、動画を調べてもメタルバンドの調整ができなか
った。
工具代と調べた工数を考えれば、3,500円以上かかっただろう。
メタルバンドの調整工賃に3,500円は払える。
日本だけかもわからないが、このような方たちが働くときの工賃は
安すぎるのではないだろうか。
昼食代くらいにはなるのだが、夕食代はどうするのだろう、となに
かもの悲しさを感じた。
支払いするときPayPayは可能ですか、と尋ねると、モール専用のク
レジットカードか、現金でお願いします、と言われた。
この店のレジスターはPOSレジではないので、PayPayで勝手に3,5
00円払おうと思ったのだが、それはできなかった。
今の日本社会は、以前と比べると随分貧しくなっている、と私には
感じられる。
このような社会で暮らしていくには、みなで協力していく以外にな
い。
政治に期待しても自分たちのことしか考えていない。
せめて、私は、メタルバンドの調整代の最低工賃は1,100円にし
ても、お客さんの評価によって工賃を自由に払えるような社会があ
ってもよいだろう、と思った。
人間がおこなうサービス料は、そもそも付加価値が高いものだ。
ダメなサービスや技術であれば、最低料金も致し方ない。
他方、個人事業主などがおこなうあきらかに価値があるサービスに
は、自由にお金が払えることが大切だ。
前にも書いたのだが、わが国でも個人にチップが払える社会が望ま
しい。
政治に期待しても国力がなくなるわが国では、すべての国民を支え
ることはできなくなるだろう。
人の未来をサポートしていくのは、ほかでもない人しかいない。
日本は、温かみがある人が多い国だ。
個人が個人を気兼ねなく支える仕組みは、これから益々重要になる
だろう。
人間関係が苦手な私が言うのも変な話なのだが、私は、面倒なこと
が嫌いなタイプだからこそ、社会のなかで人間にしかできない仕事
は価値があると思っている。
その価値に見合った額のお金を出すことはできるだろう。
なんでも安ければよい社会では、人間の未来はつくれない。
ネット社会を陰で支えてくれる人たちは大事な存在だ。
モール内の店だったのだが、机の上に、修理か調整のために預かっ
ている時計がふたつ置いてあった。
少し安心した。
近隣に12月まであった服のお直しやさんは、すでに店をたたんで
いた。
いろいろな景色が変わっていく。
社会のありようは、平均ではみえない世界だ。
この国の社会の風景は、確実に変わってきている。