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中小企業

金利や物価上昇局面だけではないのだが、事業を伸ばす中小企業の経営者は、手元現預金を毎日把握していた

中小企業経営における問題点は限りなくある。
企業によって、その内容は千差万別だ。
経営者、社員、取扱う製品、取引先など、その問題点を把握す
るだけでも大変な作業になる。
しかも時間がかかる。

私が、なかでも疑問に思うことは、経営者が手元現預金を把握
していないことだ。
多くの経営者は売上ばかり追っていた。
ただ一人、日々の現預金を管理している経営者がいた。
しかも、毎日だ。

こんなことがどうしてできるのか。
結論から言えば、権限を委譲して事業を進めているからだ。
事業に細かな口を挟まない。
部下(管理職)を信頼(実際信頼しているかどうかは別だが)
して事業を任せていた。
部下は問題が起こりそうであれば、創業経営者と相談しながら
対応した。
その姿を何度みたことだろう。
当たり前の風景だった。

経営計画は大切なのだが、これはあくまで予定であり、想像の
世界だ。
予算実績比較をすることで現状が把握される。
しかし、それでも現預金が毎月いくらあるかは、また別に把握
しなければならない。
キャッシュフローステートメントでも、月末、概算の金額は把
握できるのだが、確実な現預金の推移は毎日把握する必要があ
る。
私が使えた事業を成長させる創業経営者は、毎日経理から現預
金の金額を報告させて、確実に頭の中に入れていた。

多くの企業では、月次で現預金の管理をしているのだが、本来、
毎日「手元にいくらあるか」を把握する仕組みをもっていなけ
ればならない。
金利上昇や物価が上昇していく局面では、1ヶ月のズレは致命
傷になる場合がある。
中小企業の経営は、行き着くところ現預金だ。
私は、創業経営者に、そのことを教えられた。

数字がみえているとよく言うのだが、これは売上の数字ではな
い、利益でもない、ひたすら現預金の金額がみえていることだ。
私は、あるとき過大投資になる、といって人事システムの追加
投資をやめることを、創業経営者に提案した。
投資額は、システム単体で1億円だ。
創業経営者は即座に「毎日現預金をみているので大丈夫だ」と
いって、私が提案した投資を進めさせた。
創業経営者の頭の中には、数十億円の現預金の塊が入っている
のだ、と理解させられた。

中小企業では、管理会計をやっていればよいというものではな
い。
中小企業経営は、あくまで経営者による現預金管理だ。
事業計画は、経営陣や従業員のためにあるのだが、毎月、現場
の現状把握をするためのツールでしかない。
実際、現金の動きだけで経営状態はわかる。
中小企業経営の原点だ。

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