消費税の申告は、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える
場合、あるいはインボイス発行事業者に登録している課税事
業者が、売上時に預かった消費税(仮受消費税)から、仕入
時に支払った消費税(仮払消費税)を引いて国に納める手続
きだ。
個人事業主は翌年3月31日まで、法人は事業年度終了後2ヶ月
以内が支払期限となる。
対象者と期限対象者は、2年前(基準期間)の売上が1,000万
円超、またはインボイス登録事業者の個人事業主だ。
個人事業主の支払期限は、事業年度の翌年3月31日までとなり、
法人の期限は、 事業年度の終了日の翌日から2ヶ月以内となる。
計算方法の種類はいつくかある。
一般課税(本則課税)は、売上にかかる消費税から実際の仕入
にかかる消費税を引く方法であり、もっともオーソドックスは
納税方法だ。
他方、簡易課税は、売上にかかる消費税に業種ごとのみなし仕
入率をかけて計算する方法だ。
さらに、2割特例という制度があり、 インボイス制度で免税か
ら課税事業者になった場合の負担軽減措置がされている。
中小企業の場合、売上が1,000万円超となっていれば、一般課
税されるのだが、問題は、消費税の2割特例(小規模事業者に
係る税額控除に関する経過措置)制度があり、こちらはインボ
イス制度を機に免税事業者から課税事業者となった方が、実際
の仕入税額を計算せず、売上にかかる消費税額の2割(80%控
除)を納付税額とできる期間限定の負担軽減措置になっている。
制度の対象者は、インボイス制度開始に伴い、免税事業者から
インボイス発行事業者になった小規模な事業者(前々年の売上
が1,000万円以下などの要件あり)となっている。
計算方法は、納付税額 = 売上にかかる消費税額 × 20%(仕入
にかかる実額計算が不要)
手続きに関しては、事前の届出は不要だ。
確定申告書に適用する旨を付記するだけで利用可能となってい
る。
ただし、適用期間は、令和5年(2023年)10月1日から令和8年
(2026年)9月30日までだ。
2割特例による消費税申告そのものはそれほどむずかしいもの
ではないのだが、なんといっても制度が特例制度となっている
ため、会計事務所や税理士が、この制度に関して、うっかり忘
れているケースがあることだ。
これを本則課税で申告した場合、当然だが、消費税の納付額が
増えることになる。
普通は、納税に誤りがあれば、修正申告をおこなうことになる
のだが、消費税に関する2割特例は、修正申告ができない。
間違って申告した場合、過去に余分に支払った消費税は戻って
こない。
この間違いによる消費税納税分の差額は、税理士が確定申告の
代行をおこった場合、原則、誤った消費税申告をした会計事務
所や税理士が負担することになる。
また、会計事務所や税理士が、誤った申告をした場合でも、個
人事業主や法人が気がつかなければ、
うやむやにされることになる。
2割特例の対象となる個人事業主や法人は、この点を会計事務
所や税理士に確認しておくことが必要だ。
適用漏れで余分に消費税を支払っておれば、会計事務所や税理
士に返金を求めることになる。
もっとも、本則課税のままでよいと考えている個人事業主や法
人は、なにもすることはない。
差額分が戻らないだけだ。
消費税の「2割特例」は、申告期限を過ぎた後に「更正の請求
(やり直しの手続き)」によって遡って適用することは原則と
してできない。
この点がやっかいだ。
国税庁の2割特例用 消費税の確定申告の手引きにおいて「一
度提出した申告について、後から修正申告や更正の請求によ
り2割特例を適用することはできない」と明記されている。
すでに申告を終えており、申告期限が過ぎている場合は、後
から2割特例を選び直して還付を受けることはできない。
計算誤りではない「計算方法の選択替え」は更正の請求の対
象外となるためだ。
すでに申告したものの、まだ申告期限内の場合期限内であれ
ば「訂正申告」が可能であり、2割特例を適用した正しい申
告書を再提出すればよい。
税理士が間違うわけがない、という油断が問題だ。
人間だれしも、間違いはある。
利益がでている企業であれば、大目に見てあげればよい。
この制度は、延長されなければ、本年9月で終了するのだが、
税に関しては、とくに中小企業に関しては、多くの特例制度
が設けられることが多い。
この点を理解できてる会計事務所や税理士を顧問にしておく
ことは大切だ。
毎年、税に関する情報収集しておくことは、中小企業経営者
の学びの第一歩でもある。
顧問料を無駄だと考えている経営者は多いのだが、事業を成
長発展させていくには、税に関することも、きちんと学んで
おかなければならない。
さらに企業が発展していった場合、企業会計を学ばなければ
ならない。
こちらは公認会計士を顧問にして税務会計から企業会計への
脱皮が求めれることになる。
経営者であろうが、従業員であろうが、私でも、学びに終わ
りはない。
それが世の中だ。