株式公開を目指す企業では、経理や人事、あるいは各業務に関
して一元的に管理をおこなうためERPを導入することが増える。
もちろん、企業規模によって導入するERPには多くの種類があ
る。
「COMPANY」という人事システムは、社員数3000名を超
える規模の企業が対象だったからだろうか、私が在籍した企業
で導入することはなかったのだが、私は、この人事システムに
ついて、2000年ごろから注視していた。
「COMPANY」は、ERPでないのだが、人事や給与など人事関
係に特化したシステムになっている。
他社のERPと連携することも可能だ。
着想がよい人事システムだ、と当時から私は思っていた。
実際に使用したのは、現役最後のころだったのだが、非常に利
用しやすいシステムだった。
人事制度の変更に関する仕事をしていたので、給与データなど
頻繁に扱う必要があったのだが、そのときはじめて機能の全体
像を知り得た。
やはり想像していた通り、よくできた人事システムだった。
人事の仕事は、広範囲だ。
勤怠管理からはじまり法制度に基づく管理や企業独自の制度で
運用するものなど多岐に渡ることが多い。
私がはじめて人事の仕事をした時代は、マニュアル作業だった
ので、その仕事をするだけで大変な作業量だった。
もっとも、私がやっていたのではない、女性社員がきちんと日
常処理をおこなってくれていた。
本格的な人事システムの導入をおこなったのは、2003年ご
ろだったのだが、この時は富士通のERPを導入した。
大部分のマニュアル作業をシステム化できたのだが、最後に残
ったのは、行政関係の手続きだった。
マニュアル作業が、ひとつでも残ると、日常業務は結構大変だ。
とくに女性社員に負担をかけることになった。
ERPを導入する企業は、とくに成長著しい企業が多く、どうし
ても日常業務は忙しくなっている。
このような状況を改善し、事業の成長を支えていくのが、ERP
などの基幹業務システムだ。
そのなかでも人事に関連する業務は、比較的標準化することが
可能だ。
国の法制度に基づく運用が基本となるからだ。
当たり前なのだが、標準化が可能な分野(仕事)は、付加価値
を生み出すことが少ない。
そのため徹底した効率化を求めることが大切だ。
いわゆる割り切りだ。
こんなところで時間をかけても、創造的なものは生まれない。
こんなことを思いながら、当時は仕事をしていた。
昨日だったか『2026年8月4日、WHI Holdingsはヤマト運輸が
統合人事システム「COMPANY」の採用を決定したと発表した。
ヤマト運輸はこのシステム導入により、法令改正や社内制度変
更に対する迅速かつ柔軟な対応、さらにグループ全体での人事
基盤の最適化・持続性を目指す』という記事が目に入った。
久しぶりに「COMPANY」の情報に触れた。
このシステムは、企業規模が大きいほど効果を発揮するだろう、
と思っている。
導入企業をみれば、その意味がわかる。
ヤマト運輸のように多くの社員を雇用し、しかも非正規社員を
含め、多様な雇用形態で事業をおこなっているからだが、これ
を一般的な人事システムや独自システムでおこなっても、なか
なか効率化は望めない。
「COMPANY」のような標準化型システムへ一気に入れ替える
ほうが、今後の運用は、はるかに機能的かつ効率的なものとな
る。
積み上げたシステムを破棄するのは、企業側からすれば不安が
あるものだが、成長著しく大企業になった企業ほど積もり積も
った滓がある。
その滓をすばやく取って業務の効率化を取り戻す必要がある。
中小企業のなかには、急速に業容を拡大するところもあるのだ
が、売上が伸びれば伸びるほど、社内における業務改革は取り
残されていることが多い。
このような企業ほど「COMPANY」は威力を発揮するだろう。
中小企業の経営者は、このような記事は自社と関係ないと思っ
ているようだが、自社の成長発展のプロセスは、ある日突然訪
れてくる。
事業が拡大したときのイメージをもっておくことは、経営者の
責務でもある。
これができていないために、事業拡大と業務の連携がうまくい
かず倒産に至る企業もある。
私には「ヤマト運輸でも今ごろだったのか」と、意外に思えた
記事だった。
宅急便システムでは、非常に優れたシステムを構築しているヤ
マト運輸だが、社内の業務システムには手をつけていなかった
ようだ。
社員数が増えれば増えるほど、既存システムは変更にしにくく
なるのだが、そのため社内システムはたこつぼ化する。
そして世の中にある効率的なシステムに乗り遅れることになる。
経営者というものは、大変な仕事だ。
事業を発展させるシステムもあれば、守りの分野のシステムが
ある、どうあるべきを、常に考えておかなければならない。
広く世の中をみておくことが求められる。
今の時代、経営者は、会社の金でゴルフなどをしている時間は
ないのではないだろうか、と私は思ってしまう。
強かった企業が弱くなる過程には、それに応じた問題や課題を
抱えているものだ。
ヤマト運輸もむかしの面影が消え始めているし、労働集約型産
業である運輸業である以上、人事労務管理に関して再構築して
いかなければならい時代を迎えている。
「COMPANY」は、そんな事業者を支えていくことだろう。